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🐅予告🐅1月の文豪カクテル◆中島敦

この胸を灼く悲しみを誰かに訴えたいのだ。己は昨夕も、彼処(あそこ)で月に向って()えた。

誰かにこの苦しみが分って(もら)えないかと。しかし、獣どもは己の声を聞いて、(ただ)(おそ)れ、ひれ伏すばかり。

山も()も月も露も、一匹の虎が怒り狂って、(たけ)っているとしか考えない。

天に躍り地に伏して嘆いても、誰一人己の気持を分ってくれる者はない。

ちょうど、人間だった頃、己の傷つき(やす)い内心を誰も理解してくれなかったように。己の毛皮の()れたのは、夜露のためばかりではない。(中島敦/山月記より)

◆予告◆1月の文豪カクテル第二弾

『 孤月 〜中島敦 / 山月記 〜』
(月夜の金柑酒 〜花の蜜と生姜の雫〜 )

 

1月の文豪カクテル二本目は中島敦。

主人公は詩人となる望みに敗れて虎になってしまった男・李徴。

教科書にも掲載されている、中国を舞台にした変身譚です。

長江流域原産の金柑を蜂蜜漬けにし、そこにアクセントの生姜を数滴。

異国情緒が漂う凛々しいカクテルに仕上げました。

ごろごろ入った金柑の果肉が飲みごたえのたる一杯です。

蜂蜜がたっぷり染み込んだ自家製金柑漬けです♪ のどに優しく、ビタミンもたっぷり。

グラスの淵に飾った金柑を、孤高に生きる李徴を照らす月に見立てて…

 

こちらは年明け1月5日より提供開始です!

 

十誡

 

🍊予告🍊1月の文豪カクテル◆芥川龍之介

暮色を帯びた町はずれの踏切りと、小鳥のように声を挙げた三人の子供たちと、そうしてその上に乱落らんらくする鮮あざやかな蜜柑の色と――

すべては汽車の窓の外に、瞬またたく暇もなく通り過ぎた。が、私の心の上には、切ない程はっきりと、この光景が焼きつけられた。そうしてそこから、或得体の知れない朗ほがらかな心もちが湧わき上って来るのを意識した。

(芥川龍之介/蜜柑 より抜粋)

『 橙 〜芥川龍之介 / 蜜柑 〜』
(杏子と蜜柑の冬燗酒 〜ニッキと丁子を添えて〜 )

 

汽車の中での芥川の実体験をもとにした物語「蜜柑」。

芥川龍之介の短編の代表作のひとつです。

 

もの寂しげな冬景色の車窓から放り投げられた、あざやかな蜜柑の色彩。

たっぷりの蜜柑果汁と杏酒(アマレット)による杏の甘みが優しく絡み合います。

それと対比するように、木枯らしを連想させるニッキと丁子、ドライオレンジを添えてご提供いたします。

寒さでかじかむ身体に染み入るやさしい味わいのホットカクテルです。

こちらは年明け1月5日よりご提供開始です♪お楽しみに!

 

十誡